神奈川で見たい夏景色。川辺・丘・線路沿いを彩るひまわり旅
川沿いに、丘の上に、電車が走る線路のそばに。神奈川では夏になると、県内のさまざまな場所でひまわりが咲きます。
遠くから見れば、どこも鮮やかな黄色の花畑。しかし近づいてみると、花の大きさや草丈、花びらの形は少しずつ異なります。人の背丈を超えるような大輪のひまわりもあれば、子どもの目の高さで咲く品種など、じつはさまざま。
この記事では神奈川ならではのひまわり景色や、そこで見られるひまわりについてNHK Eテレ「趣味の園芸」で講師兼ナビゲーターを務める園芸デザイナー・三上真史氏にご紹介いただきます。
座間ひまわり畑|人の背丈ほどの花と、丹沢を望む55万本
神奈川を代表するひまわり景色のひとつが、相模川流域に広がる座間ひまわり畑です。
例年8月に行われる座間市ひまわりまつりでは、座間会場と四ツ谷会場を合わせた約5.5haの畑に植えられた約55万本のひまわりが楽しめます。
近年の座間会場のメインとなっているのは、草丈が150~200cmほどになる「ハイブリッドサンフラワー」です。人の背丈ほどまで伸びた茎の先に黄色い花が並ぶため、散策路へ入るとひまわりの壁に包まれるような感覚を味わえます。
じつは私も幼い頃、座間に住んでいたことがあり、この辺りを駆け回って遊んだ思い出があります。
背の高いひまわりの中は、子どもの私にとってまるで迷路のようでした。夢中になって走り回り、ふと見上げれば頭の上に青空と黄色い花が広がっていたものです。
一方、四ツ谷会場では、オレンジ色が濃い「ビンセント」や、草丈70~100cmほどの「サンスポット」が植えられた年も。子どもの目線に近い位置で咲くひまわりもあり、座間会場とはまた違った花景色に出会えます。
イシックス馬入のお花畑|地域の手で育てる、空の広い河川敷の花畑
平塚市の「イシックス馬入のお花畑」も、相模川沿いでひまわりに出会える場所です。
河川敷には約3万㎡のお花畑が広がり、地域のボランティアが植栽や草取りなどの維持管理を行っています。種まきには、地元の幼稚園児や保護者が参加することもあり、きれいに咲いたひまわりの背景に地域の人たちの思いを感じられるのがこの場所の魅力です。
周囲に高い建物が少ない河川敷では、ひまわりの上に大きな空が広がります。晴れた日には、花畑の周辺をひばりなどの野鳥が飛び交うこともあり、花だけでなく、川辺の風や空の広さまで一緒に味わえます。
同じ時期に百日草が咲いていることもあり、赤やピンク、オレンジなどの花が、ひまわりの黄色に彩りを添えます。一面を黄色く埋め尽くす座間とはまた違う、色彩豊かでのびやかな花景色に出会えるかもしれません。
横須賀 くりはま花の国|谷から丘へ続く、立体的なひまわり畑
「横須賀 くりはま花の国」のひまわりは、座間や馬入のような平らな土地に広がる花畑とは、ひと味違った景色を見せてくれます。
自然の地形を生かした高低差のある園内では、入口から頂上へ続く約1万8,000平方メートルのポピー・コスモス園に、ひまわり畑が広がります。丘の斜面に沿ってひまわりが咲くため、谷側から見上げたときと、園路を上って振り返ったときとで、ひまわり畑も少し変わって見えるでしょう。
さらに園内には、ブランコ風のベンチや、ひまわりを絵画のように切り取れる額縁などのフォトスポットも。花畑の中には散歩道やスマートフォンスタンドも設けられ、ひまわりを間近に感じながら写真撮影も楽しめます。
串橋ひまわり畑|大輪のひまわりと小田急線
神奈川のひまわりスポットの中でも、線路沿いの風景とともに楽しめるのが伊勢原市の「串橋ひまわり畑」です。
このスポットの特徴は、ひまわりと、そのすぐ向こうを通り過ぎる電車を1枚の写真に収められること。タイミングが合えば通常の車両だけでなく、ロマンスカーとひまわりが重なることもあり、人気のフォトスポットとなっています。
手前の大輪を主役にするのか、花畑と車両をひとつの風景としておさめるのか。立つ場所や目線の高さによって、見え方も変わります。
電車が通り過ぎるのはほんの一瞬。その一瞬を待ちながら、花の向きや夏空、雲の流れを眺める時間も、この場所ならではの楽しみでしょう。
※訪れる際は、線路や立入禁止区域へ近づかず、周辺の農地や花を傷めないよう配慮しながら観賞してください。
写真提供:一般社団法人伊勢原市観光協会
ひまわりは本当に太陽を追いかけているのか
ちなみに、ひまわりといえば「太陽を追いかける花」というイメージがある方も多いのではないでしょうか。けれど、実際に太陽を追うように動くのは、主に成長途中の若い時期だけです。
茎の中では、光の当たり方に応じて成長に差が生まれます。光が当たりにくい側の細胞がより伸びるため、花やつぼみが太陽の方へ向くように動いて見えるのですが、これがひまわりの「向日性」と呼ばれる性質です。
ただし、花が咲き進むにつれて動きは少なくなります。成長がほぼ終わると、太陽を追って向きを変えることがなくなり、多くのひまわりは東を向いたまま咲き続けます。これは、朝日を浴びて花を早く温めることで、ハチなどの虫が訪れやすくなり、受粉にも有利になるためと考えられています。
こうした性質を知ってからひまわり畑を眺めると、同じ方向を向く花の姿にも、植物なりの理由があることに気づきます。そんな発見も、園芸の面白さのひとつです。
Column
神奈川のひまわりを巡る夏旅へ
人の背丈ほどのひまわりに囲まれ、その向こうに丹沢を望む座間。
地域の人たちが種をまき、空の広い河川敷で花を育てる馬入。
谷から丘へ続く園路を歩き、立体的な花景色に出会うくりはま花の国。
そして、大輪の花の向こうを小田急線が走り抜ける串橋。
同じ黄色いひまわりでも、花の高さや咲き方、育てる人、背景となる風景は、それぞれ異なります。今年の夏は、本数の多さだけで行き先を決めるのではなく、そこでしか見られない「花と風景の組み合わせ」を探しに出かけてみませんか。
モデルコースも参考に、神奈川のひまわりを巡る旅をお楽しみください。


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