秋の七草を探しに神奈川へ!箱根・鎌倉・横浜・川崎で季節を感じる花旅

秋の七草を探しに神奈川へ!箱根・鎌倉・横浜・川崎で季節を感じる花旅

風に揺れるススキや、寺院の境内に咲く萩。華やかな花畑とはひと味違う、控えめで風情のある姿こそ、秋の七草の魅力です。

派手さはなくても、風に揺れる姿や周りの景色にそっと溶け込む美しさは、日本ならではの秋の風景そのもの。

神奈川県内には、箱根の広大な草原をはじめ、鎌倉の花寺や歴史ある庭園、山野草に出会える森林公園、草花をじっくり観察できる植物園があります。秋の七草を手がかりに、それぞれの場所だからこそ出会える秋の風景を訪ねてみませんか。

この記事では、NHK Eテレ「趣味の園芸」で講師兼ナビゲーターを務める園芸デザイナー・三上真史氏に、秋の七草の魅力と、神奈川県内で楽しめるスポットをご紹介いただきます。


  • 【執筆者】三上真史
    【執筆者】三上真史
    【この記事を書いた人:三上真史】
    園芸デザイナー/GREEN×EXPO 2027 スペシャルサポーター/横浜の花と緑をPRするアンバサダー
    グリーンアドバイザー、1級FP技能士
    NHK Eテレ「趣味の園芸」講師兼ナビゲーター / NHK「あさイチ」講師 / テレビ静岡「くさデカ」/ NST「スマイルスタジアム」
    著書「三上真史の趣味の園芸のはじめかた」(NHK出版)
    YouTube「三上真史の趣味は園芸チャンネル」登録者数 22.3万人

秋の七草とは?七つの花とその由来

秋の七草は、萩(ハギ)、尾花(オバナ)、葛(クズ)、撫子(ナデシコ)、女郎花(オミナエシ)、藤袴(フジバカマ)、桔梗(キキョウ)の七つです。

その由来とされているのが、『万葉集』に収められた山上憶良(やまのうえのおくら)の歌。秋の野に咲く七つの草花が詠まれ、今も季節を感じる花として親しまれてきました。

七草粥として味わう春の七草に対し、秋の七草は、野に咲く姿を眺めて季節を楽しむもの。

私にとっても秋の七草はこの時期の散策の楽しみの一つで、見つけた瞬間に「あった!」と嬉しくなるので、気づけば景色のあちこちに目を向けながら七草を探しています。

みなさんも秋の七草の姿・名前を知るだけで、それまで何気なく通り過ぎていた草むらや道端にも自然と目が向くようになり、季節の移ろいをより身近に感じられるようになるはずですよ。

ここからは神奈川県内の秋の七草が楽しめるスポットをご紹介します。秋の七草はそれぞれ見頃や育つ環境が異なり、同じ場所ですべてに出会えるとは限らないので、見たい花や楽しみたい風景から行き先を選んでみましょう。

箱根・仙石原すすき草原|尾花が揺れる黄金色の風景

秋の七草の一つである「尾花」は、ススキのこと。穂が動物の尾を思わせることから、古くからこの名で呼ばれてきました。

箱根町の仙石原すすき草原では、台ヶ岳の斜面を覆うように一面のススキが広がります。秋らしい景色が深まるのは、例年9月下旬から11月上旬ごろ。

穂は季節が進むにつれて銀色から黄金色へと変化し、風と光を受けてさまざまな表情を見せてくれます。

私もプライベートや撮影の仕事でも何度か仙石原を訪れていますが、風が吹いた瞬間、一面のススキが波のように揺れる景色には、毎回足を止めて見入ってしまいます。晴れた日も曇りの日も、朝夕でも、それぞれに違った表情を見せてくれるのもススキの魅力。写真では伝わりきらない、その場ならではの迫力をぜひ味わってみてください。

鎌倉・宝戒寺|白萩に包まれる「萩の寺」

細い枝をしならせながら小さな花を連ねる萩は、万葉の時代から秋を代表する草花として親しまれてきました。

「萩の寺」として知られる宝戒寺では、初秋になると参道沿いを白萩が彩ります。控えめな白い花と寺院のたたずまいが溶け合う、鎌倉らしい秋の風情です。

萩は一輪の花だけを見るというより、細い枝いっぱいに花をつけ、風に揺れる姿を一歩引いて眺めるのが美しい植物です。時期が合えば、彼岸花やホトトギスなどの秋の花にも出会えます。

ぜひ白萩を眺めながら、境内に咲く小さな季節の花にも目を向けてみてください。

鎌倉・日比谷花壇大船フラワーセンター|植物園で秋を巡る

花の名前や姿をじっくり確かめたいときは、日比谷花壇大船フラワーセンターを訪ねてみましょう。時期によって、キキョウやハギ、ススキなどの秋の七草に出会えます。

キキョウは、一般的には『万葉集』に登場する「朝貌の花」に当たると考えられている、青紫色の花を星形に開く姿が印象的な花です。

細かな花を連ねるハギや、風に穂を揺らすススキなど、同じ秋の七草でも花の大きさや咲き方はさまざま。花や葉の違いを近くで見比べられるうえ、彼岸花やシュウメイギクなど、その時期ならではの花も園内を彩ります。

ぜひ植物園では、花だけでなく葉や茎、株全体の姿にも目を向けてみてください。同じ「秋の七草」でも、それぞれに異なる個性があることに気づくはずです。

横浜・俣野別邸庭園|庭園を巡りながら秋の七草探し

歴史ある邸宅と四季折々の自然を楽しめる俣野別邸庭園では、秋になるとハギやススキ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウなどに出会えることがあります。

四季の花苑や小庭など、邸宅を囲む庭園を歩きながら、園内のさまざまな場所に点在する秋草を一つずつ探していくのも楽しみ方の一つです。

河岸段丘の高低差を生かした園内は、歩く場所によって景色の見え方が変わるのも特徴。昭和初期の和洋折衷住宅を再現した俣野別邸を背景に、ハギやオミナエシなどの素朴な秋草を眺めながら、ゆっくり庭園を巡ってみてください。

川崎・県立東高根森林公園|ハギやオミナエシなど秋の七草を探す

川崎市にある県立東高根森林公園では県指定天然記念物のシラカシ林をはじめ、樹林や草地が広がる園内でハギやオミナエシなどの秋の七草が楽しめます。

花の特徴を少し知ってから歩くと、まるで宝探しをしているような気分にもなるもの。「これはオミナエシかな」「あれはハギかな」と考えながら歩く時間も、秋の七草を巡る散歩ならではの楽しみです。

七草だけでなく、ユリ園では時期によってレンゲショウマやヤマホトトギスなどの山野草にも出会えます。七草を探していたら、思いがけず別の花が目に入る。そんな発見を重ねながら歩けるのも、東高根森林公園ならではです。

秋の七草と楽しむ、神奈川の花旅

秋の神奈川では、七草のほかにも彼岸花やコスモス、秋バラなど、さまざまな花が季節の風景をつくります。

鎌倉で萩と彼岸花を眺めたり、植物園で七草とほかの秋花を見比べたり。箱根では、ススキの草原と温泉、美術館を組み合わせるなど、花を中心に旅を楽しむことができます。

七草から広がる、彩り豊かな秋の花旅。花は遠くの名所だけでなく、身近な自然の中にもたくさん咲いています。「これは何だろう?」と立ち止まる瞬間が増えると、散策そのものがきっともっと楽しくなるはずです。

同じ場所でも、その年の天候や季節の進み方によって、花の咲き方や景色は少しずつ変わるもの。だからこそ、毎年訪れても新しい発見があります。そんな小さな発見が、季節を感じる楽しさにつながるのだと思います。

秋の七草と、その周りに咲く季節の花、風に揺れる草木にも目を向けながら、神奈川ならではの秋の花旅を楽しんでみてください。

※花の見頃や開花状況は、気候などによって変動します。お出かけ前に各施設の最新情報をご確認ください。

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