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開港都市・横浜のお菓子【歴旅コラム】

開港都市・横浜のお菓子【歴旅コラム】

ガス灯の馬車道、街とお菓子の良い関係

横浜馬車道には「西洋文化事始め」に関わるいくつもの物語があります。この街では文明開化と共に歩んだ歴史が大切にされ、その思いは、馬車道ゆかりのアイスや、ガス灯、馬車等にちなんだ、お菓子からも感じられます。

焼菓子の『ビスカウト』(馬車道十番館)は、包装紙もハイカラ文化満載です。また、関内地区を代表する和菓子店と言えば松むら。1897年この地で創業しました。歩いて楽しい街と美味しいお菓子の良い関係は、野毛の『大銅鑼焼』(もみぢ)、本牧の『喜最中』 (喜月堂)〔いずれも神奈川県指定銘菓〕にも当てはまりそうです。
【左側】馬車道のお菓子:馬車やガス灯にちなむ商品名・デザインも多い
〔左上〕馬車道馬蹄パイ(ガトー・ド・ボワイヤージュ)、〔右上〕馬車道あいす(高梨乳業/平安堂薬局<馬車道>で販売)
〔左下〕キャンディ横浜MIX(パパブブレ/馬車道シンボルマークのデザインがある)、〔中〕馬車道まんじゅう(松むら)、〔右下〕ビスカウト(馬車道十番館/背後は包装デザイン)
【右側】和菓子3種:上から、大銅鑼焼(もみぢ/野毛)、喜最中(喜月堂/本牧)、シウマイ饅頭(みのや本店/伊勢佐木町)

レトロモダン・新旧多様な伊勢佐木町のお菓子

伊勢佐木町には、第1回神奈川県指定銘菓『みのやの煉羊羹』(みのや本店)と『カステラ』(文明堂)があります。

みのや本店は、店名が示すように初代は岐阜県出身で、店先には横浜風和菓子(シウマイ饅頭等)が多く並びます。奥には生け花等、日本文化の清々しい空間を設え、 レトロモダンの伊勢佐木町の粋を伝えています。
  • 文明堂茶館ル・カフェ (右下枠内:パステル 生クリームと共に)
文明堂は、茶館ル・カフェがフォークデュオ「ゆず」行きつけの店として、お気に入りの菓子『パステル』と共に知られています。隣の旧松坂屋前は路上ライブの定位置、ゆずの原点・誕生の地です。
不二家横浜センター店:関東大震災後に竣工(戦後は接収され、米軍が使用)

不二家は横浜元町の創業で、伊勢佐木町での開店は1922年、ショートケーキを初めて売り出した店とされます。現店舗は、関東大震災後にA.レーモンドが設計したモダニズム建築で、不二家の意気込みを物語る、当時最先端のビルと言えます。
洋菓子の神奈川県指定銘菓
【左側】ボストンクリームパイ(浜志"まん)中央はチェリー、手前はミニボストンで、真ん中にチョコレート
【右側】開港レシピのアップルパイ(モンテローザ)柚皮やピスタチオも使用



ハマっ子御用達と言ったら『ボストンクリームパイ』(浜志"まん)。ボストン生まれのケーキは、 外国航路の客船で働いていたパティシエから製法を伝授され、60年以上も横浜で愛されています。美しく繊細な幾何学模様は、チョコレートで描いた円をフォーク先端で伸ばし完成させます。一人用サイズもあり、2015年NHK朝ドラ「まれ」では、パティシエを目指す主人公・希(まれ)〔演:土屋太鳳〕が店内で味わっています。

「まれ」の撮影は、霧笛楼、ストラスブルジョア、山手111番館、ありあけ本館等でも行われ、当会はその夏にロケ地ツアーを実施しました。ケー キを見て「イイね!」と声を上げたお孫さんに、シニア女性が嬉しそうに「浜志"まんはハマ自慢よ」と応えていたのが思い出されます。

『開港レシピのアップルパイ』(三陽物産/モンテローザ)も華やかな外観が印象的です。お菓子を通じて横浜の歴史文化を伝えている会社が、明治の料理書「西洋料理通」を紐解いて作りました 。リンゴで模ったバラは横浜市花で、明治初め頃から山手居留地で栽培されています。長者町の店内には、かつての横浜名産・眞葛焼が、現代の横浜土産のお菓子と共に展示されています。

進取の気風が創る、元町~旧居留地のお菓子

元町〜旧居留地周辺のお菓子:船や港、居留地文化が感じられるものも多い
【上段】〔元町〜山手〕左から、船もなか(香炉庵)、横濱煉瓦(霧笛楼)、ラムボール(喜久家)、横濱レモン(榎亭)
【中段】〔旧居留地周辺〕左から、横浜のあられ・横濱ビア柿と横浜ナポリタン(美濃屋あられ)、ハーバー(ありあけ)、レーズンサンド(かをり)、チョコレート赤い靴とブルーダル(エクスポート)
【下段】〔中華街〕左から、玉帯糕(翠香園)、鳳梨酥(頂好)、番餅と幸福餅<フォーチュンクッキー・おみくじ付>(重慶飯店)、蛋逹<エッグタルト>(紅棉)
【右下枠内】生たまご生プリン(エリゼ光)



開港都市・横浜は、進取の気風に富む街と言われます。その気風は、様々なお菓子を広め、新しいお菓子を創りました。ハマっ子定番のお土産、『ラムボール』(喜久家)もその1つで、 お店を詠んだ短歌に「あさもよし 喜久屋のネオン ともりけり 山手は霧と けぶれるらしも」(中島 敦)があります。
元町から旧居留地では、このほか洋菓子の『横濱煉瓦』(霧笛楼)、『レーズンサンド』(かをり)、『ハーバー』(ありあけ)、中華菓子で神奈川県指定銘菓の『玉帯糕』(翠香園)、『鳳梨酥』(頂好)、『番餅』(重慶飯店)など、横浜を代表するお菓子が生まれています。
2018年に神奈川県銘菓に指定された、『生たまご生プリン』(エリゼ光)は、食べる人が卵を入れて完成させます。インスタ映え(2017年の流行語大賞)することからも、プリンアラモード(ホテルニューグランド発祥)に続く、横浜の新しいプリンの登場と言えます。

記事提供:NPO法人 横浜シティガイド協会

(記事公開日:2021/2/26)

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