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お菓子とお茶でひと休み 藤沢の銘菓【歴旅コラム】

お菓子とお茶でひと休み 藤沢の銘菓【歴旅コラム】

「藤沢宿」は東海道五十三次の6番目の宿場、東の入口「江戸見附」に隣接する「遊行寺」は時宗の総本山です。お正月の大学箱根駅伝では、復路8区の最大の難所「遊行寺坂」で、いくつものドラマが生れています。

江戸時代には、交通の要所であったこの辺りですが、その名を一躍有名にしたのが、「小栗判官・照手姫伝説」! たくさんの浮世絵や歌舞伎・浄瑠璃の演目となり、人気を博しました。ここには、判官亡き後尼僧となった照手姫の暮らした「長生院」、またの名を「小栗堂」や、「照手姫」と愛馬「鬼鹿毛」の眠るお墓があり、訪れる人も少なくありません。

『一ツ火』

  • 一ツ火
その遊行寺の境内にひっそりと佇む一軒の和菓子屋さん「菓匠 いもと」があります。こちらの銘菓「一ッ火」は、70年以上前に2代前のお上人の依頼を受けて作られました。「御滅灯」(一ッ火)と言う大行事の瞬間をお菓子で表現した、匠の技の光る、言わば古式ゆかしげな一品ですが、お口に入れるとそこにあるのは、意外にも「ん?新作」と思える様な濃厚にして豊かな味わい!隠し味に使われているのは、当時洋菓子やパンも作っていた「菓匠 いもと」ならではの、秘密のひと品です。だからかな?コーヒーのお供にだっておおススメなのです。全国菓子大博覧会で金賞も受賞している「一ッ火」、まずはご賞味あれ。

遊行寺を出て、歌川広重の浮世絵で描かれている大鋸橋(現在は赤い遊行寺橋)を渡ると、電線のない広い通りに出ます。藤沢宿のメイン通り!古い蔵・商店が残り、電線の地中化により設置されたトランスボックスで、藤沢の町の変遷や浮世絵を案内しています。
  • 源義経と武蔵坊弁慶の像
藤沢宿には源義経と縁のある名所が点在。忠臣であった弁慶の塚がある常光寺。位牌が安置されている荘厳寺。奥州で自害の後、鎌倉市腰越で首実検され川を流れてきた御首を里人が拾い上げ、清めたといわれる義経首洗井戸。

その先、八王子道へ曲がると義経を祀った白旗神社。当時、白旗が源氏の旗であったことから、頼朝の指示でこちらに。境内には、藤沢の御首と宮城県栗原市の御骸の霊を合わせ祀った源義経公鎮霊碑も。分断された胴と首、両方の塚の土を合祀するため、胴塚を管理する方が藤沢白旗から宮城県栗駒(栗原市)までを歩かれました。その恩返しにと20年後、没後830年にあたる令和元年(2019年)に、義経最期の地である岩手県平泉から藤沢までの約500㎞を徒歩で聖地巡礼された方がいます。「古美根菓子舗」のご主人です。

『笹りんどう最中』『義経饅頭』『弁慶饅頭』

  • 笹りんどう最中
「古美根菓子舗」は白旗神社の西側にあります。源氏の紋章を模った『笹りんどう最中』は、袋を開けると最中の香ばしい匂いが。ほど良い甘さの粒餡に心が鎮められるようです。他に、義経藤・弁慶藤のように『義経饅頭』『弁慶饅頭』が商品棚に隣同士で並べられていて目を惹かれます。二人を想う里人の心が引継がれていることが伝わってきます。
  • 伊勢山公園から望む景色
藤沢宿の西の端「京見附」の北側には伊勢山。伊勢参りに行けない人のために、伊勢神宮の分霊を祭神とした神明宮がありました。東海道を見おろし、江の島も望める景勝地。桜の名所ですが、紫陽花も見事です。頂上でひと休み。藤沢宿散歩のゴールにしてみては?

『藤澤ゆべし』

  • 藤澤ゆべし
おしまいにもうひとつ。御菓子司「近江堂」の『藤澤ゆべし』をご紹介。藤沢宿の東の端、藤沢橋から江の島に向かう江の島道の途中、藤沢駅の手前にあります。「ゆべし」は、源平時代からあり保存食ともされ、全国各地に存在。さまざまな形があるようです。『藤澤 ゆべし』は、四角く食べやすい一口サイズが2つ。国産うるち米の味甚粉(餅にしてから粉砕した粉)が使用され、クルミ・白胡麻・白味噌の調和で、思わず頬が緩みます。出来たては柔らかく、優しく口の中で溶けていきます。固めがお好みの方は、賞味期限近くまで待つのも楽しみ方のひとつです。再度…是非、ぜひご賞味あれ!

主要街道の分岐点であり、大山詣・江の島詣の中継地点でもある藤沢宿を行き交う人々は、甘いものを茶店の店先で食べる他、懐にも忍ばせていたのでしょうか?

長旅の途中に、お菓子とお茶でひと休み、ひと休み。

記事提供:江の島・藤沢ガイドクラブ

(記事公開日:2021/2/26)

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